2019/08/23 | 襦袢
No.54
【夏の長襦袢】
今回は、夏の着物に合わせる〈長襦袢〉のお話をさせていただきます。
以前は7月から8月末までと言われていた夏着物ですが、年々暑くなって来ているので着用時期も長くなってきております。
その場合、悩んでしまうのが着物の下に着る〈長襦袢〉。
今回はそんな〈長襦袢〉の各素材のご説明と共に、相性の良い合わせ方や選び方をお話しさせていただければと思います。
着物を着られる方の数だけ色々な考え方があると思いますが、基本的に夏着物は7月頭から8月末までの盛夏の時期と言われております。
ですが、最近では袷着物を着る5月や10月中旬でも30℃近くなる事があります。
もちろん伝統はとても大事ですが、しきたりや謂れを守って着物姿で倒れてしまっては元も子もないので、私は気温を目安に着る物を決めております。
(※紗や絽の絹の着物は、盛夏の時期だけに着ることを好んでおります。)
20℃〜25℃前後ぐらいの気候なら、単衣の着物が気持ち良い。
単衣の着物には〈単衣の長襦袢〉は勿論、〈夏物の襦袢〉を合わせて着ても大丈夫です。
〈絹の着物には、絽か紗の長襦袢を〉
きものと長襦袢の素材が合っていないと、裄や袖丈が揃わなくなってしまいます。
絹の襦袢地では使える真っ白の絽目の入った物が絹の夏着物に合わせやすく、また普段着から礼装まで使える範囲も幅広いので1枚目の夏襦袢のお仕立てにオススメです。
2枚目からは画像の様な水色や鳶色など少し色のついた地紋のある紗の襦袢を使っていただくと、4月や5月にフライングで着る単衣着物にも合わせやすく透け感も無いので便利だと思います。
〈麻着物には麻の襦袢を〉
シャリシャリと張りがある麻着物は、風通し良く一番涼しさを感じる事の出来る夏の普段着物の代表です。
この着物にあわせるのは、同じく麻生地を使った長襦袢がオススメ。
白や淡色の無地の麻襦袢が多くとても涼しげですが、こんなチェック模様の物も可愛くて実は使い易い。
年々気温は暑くなるので近頃は5月辺りから茶色や紺などの濃色の小千谷縮を着ることも多く、そんな時には寒々しく見えない様に色や柄の襦袢が便利です。
勿論、薄い色の麻着物にあわせて透ける模様を楽しむのも有りです。
袖口からチラリと覗くお洒落な襦袢の色。
夏のお洒落を是非お楽しみ下さい。
〈オールマイティーなら爽竹襦袢〉
絹にも麻にもあわせれる、更に自宅でも洗えてしまう。そんな万能選手がお望みなら、爽竹の襦袢をお勧めします。
張りがあり柔らかく、どの着物にも添いやすいのが爽竹の特徴ですが、更に汗をかいても体表温度が上がりにくく化繊を使いながらも蒸れが少ない。とても優秀な素材だと思います。
またオリジナルで開発した爽竹襦袢の反物は、袷着物用に無双袖としても仕立てて戴けるように少し長めの用尺となっております。
色も多彩なので、お気に入りの着物にあわせて長くお使いいただければと思います。