日本橋好み

2020/03/27 | 名古屋帯-小紋-

No.83

No.83
今回のテーマは〈染め名古屋帯〉です。
数年前から生産量もかなり少なくなって来ていると聞いていた塩瀬の染め帯。
個人的には草花や風景など季節を感じ取れるものも多く、個人的にはとても好きなアイテムです。
今回ご紹介するのは、少し個性的な〈染め帯〉達。
是非、季節の移り変わりをお楽しみください。

〈春〉と名前のつけられた小紋の反物は、春空の様な水色の霞ぼかしにふんわりと色が差してある優しい雰囲気のもの。

合わせた帯は、水辺に咲く杜若(かきつばた)。
水や花の表現はどっしりと重たい色で表してあり金彩も使った重厚なものですが、地色が薄色なので爽やかに着こなすことが出来ると思います。

少し脱線しますが、菖蒲(あやめ)と杜若(かきつばた)と花菖蒲(はなしょうぶ)の違いはご存知でしょうか?

ちょっと見は同じ様な花に見えますが、水辺に咲くのは杜若か花菖蒲。土から咲くのがあやめ(花菖蒲も咲くそうです。)。
今回は水辺に咲いているので、杜若か花菖蒲と推理します。
そして花弁の根本に黄色が少し入っているのが花菖蒲で、白いのが杜若だそうです。
今回は白いので「杜若です!」と言い切りたいところですが……。
着物では線や色を省略したりとミニマムなデザインにして、「どちらとも取れる」という遊び心のある模様がよく見出せます。
この様な柄のときには自分のコーディネートしたいイメージで考えて戴いて、その〈遊び心〉を楽しんでもらえれば良いのではないか?と思います。

帯の小物類はお太鼓柄に合わせて、少し重た目の色味を選びました。春待ちの未だ肌寒い頃には今回のような色目で、暖かくなって来たら春らしく淡い黄色や若草色やピンクなどを使ってみると、まて雰囲気が変わって季節感も出しやすいかと思います。

季節を感じる〈染め名古屋帯〉は、周りの方の目も楽しませるもの。
是非、普段使いにお楽しみ下さい。



きものスタイリング/吉澤暁子
着物/小紋 きたつみ ボカシ
帯/名古屋帯 吉川工芸
帯締め/和小物さくら 二重高来段二色ボカシ手組
帯揚げ/和小物さくら 絽斜めボカシ銀刺繍

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