日本橋好み

2020/03/13 | 付け下げ-袋帯

No.82

今回のテーマは〈付下げ〉。
以前の付下げの格付けは訪問着の少し格下の扱いでしたが、訪問着の使用頻度が少なくなってきたいま、柄付けも華やかになり訪問着に匹敵する程となってきました。
華やかすぎず、砕けすぎず。
帯次第で如何様にも使いこなすことの出来る付下げは、現代に合わせた〈進化した着物〉の姿なのかもしれません。

月白に近い明るい薄灰色にエレガントな雰囲気の付下げは、スッキリとした縦の柄もあいまって優秀な細見えデザインとなっています。
エキゾチックな白上げの友禅にキラリと光る金駒刺繍も、控え目な華やかさで年齢を重ねた方にも楽しんでいただけるお洒落感だと思います。
あわせた帯は、河合美術織物さんのもの。基本的な着物と帯のコーディネートで「モチーフを重ねない」というルールが有るのですが、今回はあえて似た感じのモチーフを選びました。
色や質感の違いさえあれば、同じモチーフを重ねても〈自分好みのスタイリッシュさ〉を出すことは可能だと思います。ルールに縛られず、沢山の自分らしさを見つけて戴ければ嬉しいです。
今回のスタイリングでは文中でもお伝えしたように、50〜60代の〈年齢を重ねた素敵な女性〉のイメージで選びましたので、帯小物類も落ち着いた色合わせにいたしました。
少し金が入った帯締めに、ベージュやブラウンが入りながら白地が明るさを感じさせる帯揚げと顔まわりを明るく効果のあるアイテムを使っております。

色や柄で悪目立ちするのは避けたいのですが、華やかな明るさですれ違う人が〈思わず振り向いてしまう〉というイメージのスタイリングとなりました。

きものスタイリング/吉澤暁子
着物/付下げ 金駒刺繍
帯/袋帯 河合美術
帯締め/和小物さくら 高来中金シモボカシ耳大和
帯揚げ/和小物さくら 意匠無地斜め取りぼかし

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