池波正太郎先生の「黒白  剣客商売番外編」を読みました。

物語の展開が早く、考えや行動が様々に変わっていく流れが、この小説の本質で、善悪がはっきりしないところが人間の不思議な部分だと感じました。

最後の小兵衛のセリフは、小説を通して感じる真実です。

「人の生涯・・・いや剣客の生涯とても、剣によっての黒白のみによって定まるのではない。この、ひろい世の中は赤の色や、緑の色や黄の色や、さまざまな、数え切れぬ色合いによって、成り立っているのじゃ。」

上下巻あわせて1000ページ以上のボリュームですが、あっという間に読めてしまう小説でした。

最近は世の中が白黒ハッキリさせたがりすぎていますが、ほとんどの事は中庸の考え方で判断していくべきだと思います。