藤沢周平さんの「漆の実のみのる国」をやっと読み終わりました。この小説はあの上杉鷹山公の史伝です。

丸上も米沢織を扱っていますが、米沢の方は真面目で努力家というイメージがあります。実際に米沢を訪れるとみんな鷹山公を尊敬していて、その流れが続いていることが感じられます。その江戸時代のヒーローの小説ということで、物語を読む前は上杉鷹山の成功物語だと思っていました。

ところが、裏切られました。そのほとんどは上杉治憲(のちの鷹山)の苦労話だったのです。実際に不利な状況で多くの民の命を預かることは、想像を絶する仕事だったことがよくわかりました。藩内での人事の悩みや、お金の工面、目標の必要性など、英雄と思っていた治憲の仕事は、泥臭く辛抱強さが求められるものでした。

J・F・ケネディが日本でもっとも尊敬する政治家を聞かれた、「上杉鷹山」と答えられたほどの英雄だと思っていた人物の苦悩に触れて、リーダーの大変さを深く理解しました。

(写真は米沢の方からいただいた、記念品のペーパーウェイトです。)