昨日は1日かけて棚卸を行いました。在庫の量が多いと、当然商品管理にも手間がかかります。でも日本橋丸上は、「在庫を持つこと」と「いつお客様がいらしても対応できる売場」であることに強いこだわりがあります。
まず、丸上の在庫の一番の強みは、厳選された商品であること。今は全国的に着物の生産量が減っていて、丸上の仕入れ担当者も毎月何度も産地に足を運びながら、いい商品を集めるために本当に苦労しています。でも、問屋の本分は“お客様の代わりに仕入れてくること”。ここだけは絶対に手を抜くわけにはいきません。
仕入れという仕事は、商品のスペックや歴史、産地の状況、市場の動向、相場、お客様の嗜好など、信じられないほど多くの情報と経験が必要です。そして、どれだけ努力して仕入れた商品でも、売れないことがあります。返品などできません。損をしながら、少しずつ減らしていくしかないのが現実です。
それでも、そんなプレッシャーの中で多くの経験を積んでいるからこそ、当社には仕入れのスペシャリストが何人も育っています。昔はこうした在庫型の姿勢が、問屋としては当たり前の考え方でした。
しかしバブルがはじけた頃から、「商品を買って在庫する」のではなく、「商品を借りる」委託型が主流になり、多くの問屋が在庫リスクを避けるようになっていきました。一見、合理的に見えるかもしれませんが、僕はそれが問屋の本業を手放すことだと思っています。企業の存在意義を考えれば、決して良い選択とは言えません。
だから日本橋丸上は、在庫にこだわり続けます。なぜなら、それが本当にお客様の役に立つことであり、問屋としての本質だからです。
これまでは“商品過多”と“デフレ”の中で商売をしてきましたが、今や“商品不足”と“インフレ”の時代に入りました。仕入れ価格は年々上がり、同じ商品でも半年後には手に入りづらくなったり、値上がりしたりすることが当たり前になっています。つまり、「早く買った方が得」という環境が、現実として広がりつつあります。
まさに今こそ、在庫戦略を根本から見直すタイミングです。丸上は、時代に流されず、自らの目利きと責任で商品を仕入れ、「必要なときに、必要な商品がある」売場を維持し続けます。これからも、問屋らしい問屋として、誠実に在庫と向き合っていきます。

