永濱利廣さんの『就職氷河期世代の経済学』を読みました。
いま話題になっている「就職氷河期世代」が、どのようにして生まれ、なぜ今なお課題として残り続けているのか——この本は、それを経済データと社会の動きをもとに、非常にわかりやすく説明してくれます。

バブル崩壊直後、日本の企業は新卒採用数を大きく絞り込みました。その影響で、多くの若者が正社員の道を閉ざされ、非正規雇用を余儀なくされました。自ら選んだわけではなく、景気回復の遅れとともに「仕方なく」非正規を続けてきた人たちは、正規登用のタイミングを失い、気がつけば50代を迎えています。
非正規で働くということは、収入の不安定さだけでなく、結婚・出産・住宅取得といったライフイベントに対しても大きなハードルになります。それがこの世代の消費を冷え込ませ、結果として日本経済全体に長期的なダメージを与えている——そんな構造まで見据えて、永濱さんは語っています。
最近では、ようやく政府もこの問題に本格的に取り組み始めました。職業訓練、リスキリング支援、企業向け助成金、ハローワークでの専用窓口設置など、多方面で支援策が進んでいます。ただ、これは“過去の政策の失敗を取り戻す”取り組みであり、その道のりは決して平坦ではありません。
それでも、このようにようやく国が真剣に向き合い始めたことには、大きな意味があります。就職氷河期世代の問題は、もはや「自己責任」という言葉では片付けられない、社会全体が抱える構造的な課題です。
僕もその世代の一人として、これまでを振り返りながら、多くの仲間が本当の意味で「やり直せる社会」をつくっていく必要があると強く感じました。この本は、経済書でありながら、多くの人の人生の裏側を代弁してくれているような一冊でした。同世代の方にはもちろん、若い世代や雇用に関わる方にも、ぜひ手に取っていただきたいと思います。

