いつもありがとうございます。早いもので立春を過ぎまして、寒さは続くものの日の入りがだいぶ遅くなりました。自宅の梅の花が綺麗に咲きまして、少しずつ春が訪れていることを感じています。

 さて、政府も新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定しました。また、昨年の3月21日以降は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが発令されることもないので、今年はいよいよ次のステージに進めそうです。さて、今年はどんな年になるのでしょうか?

 僕が着物業界で一番懸念するのは人手不足による市場規模の縮小です。この3年間どの会社もとても大変だったため、当然ですが業界全体で採用が減少しました。そのため業界従事者の平均年齢が上がっているのと同時に、これからは引退する方が増えてきます。丸上も頑張って採用と育成をしていますが、他業種も人手不足なので売り手市場が続いております。そして、産地の生産者の引退が原因で、コロナ前のような生産量に戻ることは現実的に難しいと思います。当社の仕入担当者からは適品が不足していて、調達が難しくなっているという話と、原料高と工賃の値上げで、商品価格が高騰しているという報告を連日聞いています。

 せっかくコロナが収束しても、もう一度知恵を絞って頑張らないといけないです。予測される人手不足に対応するために大切なことは「役割分担」ではないでしょうか。今後の物販は「必需品」と「心を豊かにするもの」に二極化していきます。着物はもちろん「心を豊かにするもの」です。だからこそこれからはリアル店舗でエンドユーザーに喜んでいただく小売業は一番重要なポジションです。またエンドユーザーが喉から手が出るような素晴らしい商品を作ってくださる生産者も輝かなければいけません。その中で商品や情報がスムーズに流れるような商品本位の呉服問屋機能を果たして、業界の生産性を上げることで、日本橋丸上は小売店様、産地の皆様に貢献していきます。

 業界が一丸となってそれぞれの役割をしっかり果たし、エンドユーザーのためになる取り組みを実施することで、この困難を乗り越えていきたいです。一見遠回りのように見えますが、結局最後は世のため人のためになる仕事をしていくことが長続きの秘訣です。そして、とうとうこんな考えに辿り着いて、歳をとったことを実感する、今年年男の丸上3代目上達 功でした!

上達 功


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