若林正恭さんの青天を読みました。高校アメフト経験者として、とてもおもしろかったです。

万年2回戦どまりの高校アメフト部の物語です。この設定を読んだ瞬間、胸の奥が少しざわつきました。僕の高校最後の年も、2回戦で負けました。しかも相手は荻窪の大学附属、若林さんの母校である 日本大学第二高等学校 でした。

僕と若林さんは3歳違いで、僕のほうが3歳年上です。高校でいえばちょうど入れ替わりになります。アラフィフになれば完全に同世代ですが、あの頃の1年差はとても大きかった記憶があります。

小説の中の「総大三高」が荻窪にあるので、きっと日大二高がモデルなのだろうと思います。直接重なる時間はなかったはずですが、この本を読んで同じ時代の空気を吸っていたことはわかります。

Amazonの書評には「アメフトを知らなくても共感できる」とあります。でも僕は、あの世代の高校アメフトの空気を経験していないと、この物語の温度まではなかなか伝わらないのではないかと感じました。少し不良っぽい部員がいたり、クラブに通っている人がいたり、真面目な人もいれば、要領よく立ち回る人もいる。上下関係も強烈で、どこか荒削りで、少し危うくて、でも妙にまっすぐでした。

そして何より、時代の匂いが濃いです。

グレゴリーのリュック。
MDウォークマン。
放課後のファーストフード。
部活帰りの町中華。

あの頃の風景が、ページのあちこちから立ち上がってきました。部室のざわめきや、コンビニの明かり、どうでもいい話で笑っていた時間まで思い出しました。アメフトの物語でありながら、僕にとっては完全に「あの時代の記憶装置」でした。

そもそも僕が高校でアメフトを始めた理由は、そんなに練習が辛くなさそうだと思ったからです。防具がかっこよく見えましたし、なんとなく楽しそうだと感じました。本当にそれくらいの理由でした。でも2回戦で負けたとき、悔しさは本物でした。

おかげで僕はその後、大学、そして社会人までアメフトを続けることができて、様々な経験を積むことができました。高校で味わった2回戦敗退の悔しさがなければ、そこまで続かなかったかもしれません。負けたからこそ、もっとやりたいと思えたのだと思います。

自分の原点を静かに思い出させてくれる一冊でした。