日産自動車が、追浜工場の生産を2027年度末で終了すると発表しました。
60年以上にわたり国内生産の要であり続けた名門工場の幕引きに、時代の転換点を強く感じます。
この追浜工場には、僕自身も思い出があります。高校1年のとき、商業科の先生の発案で「日本の最先端の工場を見に行こう」という企画があり、クラスのみんなで見学に行きました。
当時は1991年。日本経済が絶好調だったバブル期の終盤です。
見学した追浜工場は、未来的な生産ラインと整然とした工場内の風景にあふれていて、まさに“技術立国ニッポン”の象徴でした。どこまでも明るい未来が広がっているように思えたのを、今でもはっきりと覚えています。
それから30年以上が経ちました。
電動化やグローバル競争の中で、企業は事業構造の見直しを迫られています。
工場の閉鎖はやむを得ない判断なのかもしれませんが、それでも一抹の寂しさを覚えずにはいられません。
今回の件を受けて、改めて「経営とは何か」を考えさせられました。
すべての会社は、その時々の経営判断が「将来を良い方向に導いてくれる」と信じて選択を重ねています。しかし10年、20年と時が経つと、同じような条件にあった企業でも、大きな差がついていることがあります。
その違いは何か。
僕は、長く成長していく会社には共通点があると思っています。
それは、自社の存在意義を見失わず、社会にどんな価値を提供するかを常に問い続けていること。
短期的な売上や利益を追うのではなく、長期的な視点で信念ある判断を積み重ねていることです。
反対に、数字だけを追う経営は、いずれ判断を誤らせ、会社の土台を弱くしてしまいます。企業の命運は、大きな意思決定だけではなく、日々の小さな選択の積み重ねによって決まります。
だからこそ、僕自身も、原理原則に立ち返り、誠実に、自分に厳しく、ひとつひとつの判断をしていかなければと、思いました。
時代は変わっていきます。
けれども、変わらない価値を大切にする経営でありたい。
追浜工場のニュースに触れながら、そんな思いを新たにしました。

