写真は先日発売されたiPhone6sの新聞広告です。「唯一変わったのは、そのすべて」というタイトルのもとに、様々な仕様(スペック)変更の価値を説明しています。僕はこの広告を見て、スマホもかなりコモディティ化が進んで、あのAppleでさえ、差別化できなくなってきたことを感じました。

これまでのApple製品は、発表するたびに消費者の生活の変化を訴えていました。でも、革新しつづけることは非常に難しいことなんですね。ただ、消費者はスペックの違いはほとんど感じません。その結果、やはり今回のiPhone新発売では、いままで当たり前だった行列ができなかったそうです。

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さて、呉服業界ではどうでしょうか?呉服業界でもやはり、これからは使用価値を訴える時代になって来たと考えています。例えば大島紬で考えると、数年前は「こんなに大変な手作業の工程を経て創られたものだから、一つ持っといたらどうですか?」という提案ができました。これは、スペックと所有価値による購入です。でも今の消費者は使用価値をとても大切にしています。「この着物を来て、あんなところに行って、こんな経験をしたら楽しいでしょ。」という提案。それと、着付けやメンテナンスも心配なく提供する機能により、お客さんの不便や不安と取り除くことが大切だと思います。

もう12マルキだから売れる時代ではなく、すごく魅力的な絣の着物があって、その柄を表現するためには12マルキを織る技術が必要という時代なのですね。