昨夜のお茶のお稽古の最中、遠くから「ドーン」と大きな音が聞こえてきました。調べてみると、それはお台場で開催された「STAR ISLAND 2025」というイベントで打ち上げられた花火の音でした。まだ5月なので、花火は少し違和感がありますが、世の中は大きく変化しているようです。
このSTAR ISLANDは、従来の花火大会とは一線を画す、未来型の花火エンターテインメントだそうです。花火だけでなく、LEDを搭載したドローン、音楽、レーザー、そして立体音響など、最先端のテクノロジーを駆使して創り上げられた“体験型”のショー。
このように、ただ“観る”だけだった花火大会が、“感じる”体験へと進化していることに驚きました。同時に、こうした特別な空間では「和装」で楽しみたいという気持ちも高まっているように思います。実際、最近はコロナ禍を経て浴衣需要が拡大し、生産が追いつかないという話も耳にします。特別なイベントの日には、若者を中心に「浴衣を着て出かける」という文化が復活してきているのです。
もともと日本の花火には、お盆の供養や悪霊退散の意味合いも込められていました。単なる娯楽ではなく、祈りの象徴でもある花火。そうした精神性を大切にしながらも、時代に合わせて形を変え続けている点に、日本文化の奥深さを感じます。
私たち和装業界もまた、こうした変化に寄り添うべきだと感じます。春の桜、夏の花火、秋の紅葉、冬の初詣など、四季折々のイベントと和装を組み合わせていくことで、新しいニーズが生まれるはずです。和装は特別な日をもっと特別にしてくれる。そう思ってもらえるような提案を、これからも続けていきたいと思います。