先日、きものの未来塾で決算書について講義を行いました。その際、一番伝えたかったポイントが「在庫の持ち方」についてです。
皆さんは在庫に対してどのような印象をお持ちでしょうか?多くの税理士さんや銀行関係者は、「在庫は極力持たない方が良い」とアドバイスすることが多いかもしれません。
しかし、小売業において在庫は、お客様満足度を左右する重要な要素でもあります。魅力的な商品が店頭になければ、お客様は二度とご来店いただけない可能性があります。

在庫のメリットとデメリット
在庫を持つことには、以下のようなメリットとデメリットがあると考えています。

メリット
・お客様にご来店いただけるきっかけになる。
・お店の個性が伝わる。
・お客様が来店したタイミングで即対応できる安心感。

デメリット
・早急な現金化が難しい
・在庫には保管場所や棚卸しなどの管理コストが発生する。
・商品が劣化する可能性があります。
・古い商品に社員が飽きてしまう。


また現在、和装業界は次のような外部環境に直面しています。

・商品の生産量の減少
和装商品の供給が減り、希少価値が高まっています。
・原料費や人件費の高騰
商品価格の上昇が避けられない状況です。
・労働環境の改善の必要性
社員の働きやすい環境を整えることも重要な課題です。
・エンドユーザーが様々なお店を活用
以前と異なり、エンドユーザーはたくさんのお店を見て、そのお店のセンスや価格に目を光らせるようになりました。

こうした状況下で、適切な在庫戦略を立てることがますます重要になっています。
これからお客様に満足いただけるお店であり続けるためには、貸借対照表と損益計算書をしっかり見ながら、「どのくらいの在庫を、どのような商品で持つべきか」を明確にする必要があります。

貸借対照表と損益計算書は、在庫戦略を考える上でとても重要です。貸借対照表では、調達した資金をどのような形に変えてお客様に貢献していくのかを確認することができます。この視点があることで、在庫は単なるコストではなく、お客様の満足を生み出すための投資であると考えることができるようになります。

一方、損益計算書では、商品回転率や交差比率を分析することが必要です。商品回転率は、在庫がどれだけ効率よく販売されているかを示し、交差比率は売上と仕入れのバランスを知るための指標になります。このようにデータをしっかりと分析することで、自分たちのお店の強みや弱みが明らかになり、それに基づいた具体的な戦略を立てることができます。

数字を単に見るだけではなく、それをどうお客様に役立てていくかを考えることが大切です。例えば、回転率の高い商品を中心にお客様の求める品揃えを整えたり、仕入れと売上のバランスを見直して無駄のない在庫管理を行ったりすることが求められます。

日本橋丸上では、長年の経験と数字の分析を掛け合わせることで、時代の変化に対応しながらお客様に喜ばれるお店づくりを続けています。これからも「お客様に選ばれるために在庫をどう活かすか」を考え抜き、この考えが和装業界全体の成長につながると信じています。