いよいよリオオリンピック開幕まで間近となりました。そんな中、このところ産地や小売店様を回っていて、少し違和感を感じていたのですが、自分の中でその違和感の答えを見つけてしまいました。今日はちょっと恐い事も書きますがご容赦ください。
個人的にそれを「呉服業界の2020年問題」と名付けました。
2020年にどんなことが起こるでしょうか?
【景気】
日本全体としては、オリンピック景気があるので、そこそこ悪くないかもしれませんが、統計的にオリンピック景気がピークを迎えるのはオリンピック開催の半年前までです。そして2019年10月に消費税が引き上げられれば、物販の景気は厳しくなることが予想されます。
【メーカー】
現在の丹後の職人さんの平均年齢が70歳を超えているそうで、ちょうど2020年頃に、全ての産地の職人の大量同時引退が見込まれ、商品の生産量が激減します。特に売れ筋の新鮮商品が減る事と多少のコスト増が見込まれます。
【問屋】
問屋はこれまで続けて働いてもらっていた現在60代の営業マンの完全引退が見込まれます。それにより販売額が低下し、在庫商品の陳腐化が顕在化してきます。
【小売】
”所有価値”を大切にするエンドユーザー様が一気に減少します。
これらが2020年前後に間違いなく同時に起こります。そして、業界として今のままの延長線上には答えがない事を痛感しました。ここまでは暗い話ばかり書きましたが、実は明るい面もあります。
【和文化への興味の向上】
オリンピック開催に伴い、日本人が再度和文化、民族衣装としての着物の価値を再認識する。
【新しい着物消費者の急増】
着物をファッションとして楽しむユーザーは増えています。また、そのような方が外国人を”おもてなし”することにより着物を着てみたい人が増えます。
つまり、暗い話題は業界がこれまで先送りしてきた問題が同時に顕在化するということ。明るい話題は、着物を着たい消費者が増えるということ。変化の時代ですね。
考え方によっては、ものすごいチャンスの4年間です。
矛盾の中で、この4年間どのような行動を起こすかがポイントです。業界や会社というのは急旋回はできません。ですので、船のように、ゆっくりですが確実に舵を切らなければいけないことをはっきりと認識しました。
日本橋丸上としては下記を行うことにより、2020年に向けてしっかりと準備をしていきます。残された時間はそう多くないです。