今年ももう6月下旬という事で、丸上の上半期も間もなく終わります。今日はこのところ現場と業界の流れを見て感じたことを書いてみます。

まず、今後の業界の一番の不安要素はやはり生産の衰退です。問屋や小売店様がどんなに頑張っても、素晴らしい商品、お客様が喜ばれる商品がが生産されなければ、その存在価値は大幅に縮小されます。呉服業界は確かに厳しいですが、そのなかでも特に厳しいのはメーカーです。今の状況が続けばいずれ適品不足から、さらに業界に悪い影響がでるのではないでしょうか?

そう考えた時に中間流通を担う丸上としては、より一層自分たちの役割分担を考え、そこに集中し力を発揮しなければいけないと改めて考えました。

僕はトマトを買う時に、農家に行った事はありません。買いに行こうと思った事もありません。これは、野菜の流通経路が確立され、各段階が役割を果たし最適化されているからだと思います。でも、今の呉服業界では本当の意味での流通の効率化ができなくなっています。その為、着物の流通がより複雑で非効率になり、適品をエンドユーザーに届けにくい仕組みになっているように感じます。

着物のような少量多品種の商品を適切に流通させる為には、それぞれの段階で商品リスクを負担する事と、全国の適品を一カ所にタンクして、効率的に提案する企業は必要不可欠だと考えています。業界全体が委託によるリスク回避を当たり前のように考えすぎていますが、業界の常識は世間の非常識です。やはり一番大切なエンドユーザーに適品を適切な価格で提供する為には、業界全体の最適化をもう一度考える必要があると思います。

それは単純に流通経路を短くすることではなく、それぞれの段階で必要な機能を明確化し、メーカー様、問屋、小売店様が一つのチームになり有機的に活動していくようなものだと思います。また、そう考えた場合に役割を果たせない企業は自然と淘汰されていく時代になると思います。

小売店様とお話をすると、元気なお店は着付け教室の開催、着る機会の提供、着物のメンテナンス等これまで以上に様々な活動をして忙しくなっています。また、メーカー様がより魅力的な商品を生産する為には、これまで以上にものづくりに集中する環境を整備していく事が必要となります。だからこそ丸上は”本物の呉服問屋”を目指し、小売店様に対しては仕入の外注機能、メーカー様に対しては営業の外注機能をしっかり果たしていきたいと思います。

現在は様々な業界で問屋不要論が言われていますが、着物のように1点1点違う商品で、人間の介在が必要で、エンドユーザーと継続的な関係性が大切な商売では、しっかりと役割を果たせる問屋はとても大切だと自信を持ちました。丸上もまだまだ未熟ですが、改善を継続し続ける事で、業界に必要とされる企業になりたいと思います。