昨日、ちょっとした“事件”がありました。PowerPointが突然使えなくなったのです。

きっかけは、Chromeブラウザの脆弱性の情報でした。安全のためにバージョンを上げようとしたところ、ChromeだけではなくMacOS自体もアップデートしなければならないことが分かりました。少し時間はかかりましたが、MacOSもChromeも無事に最新バージョンに更新することができました。

ところが、その結果、これまで使っていたMicrosoft Officeが起動しなくなってしまいました。調べてみると、購入していたOfficeのバージョンが古く、新しいOSでは動かなくなっていたのです。

一瞬焦りましたが、冷静に考えてみると、いま僕がどうしてもMicrosoft Officeを使っている仕事はそれほど多くありません。紙で発行している「丸上通信」をPowerPointで作っているくらいでした。

人間は、追い込まれるとちゃんと解決策を考え出すものです。

PowerPointが使えないと分かったときは少し焦りましたが、よく考えてみれば別の方法はいくらでもあります。Googleスライドでも作れますし、デザインの方法も今はたくさんあります。本当は追い込まれる前に、常に改善を考え続けるのが理想なのでしょう。しかし現実には、こうした小さなトラブルが変化のきっかけになることも多いものです。

今回を機に、丸上通信もGoogleスライドで作れるように準備していこうと思います。
3月号はすでに完成していますので、少し時間をかけて新しい形を考えられそうです。丸上通信4月号がどのようなデザインになるのか、どうぞご期待ください。

今回の出来事で改めて感じたのは、同じことを長く続けていると、知らず知らずのうちに現状維持に縛られてしまうということでした。
Googleスライドで作るようになれば、会社にある特定のパソコンに依存せず、どこからでも制作できるようになります。そう考えると、今回の出来事はむしろ良い変化のきっかけだったのかもしれません。

そして、今回の件からもう一つ思い出したことがあります。

僕が社会に出た頃、Microsoft Officeはまさに業界標準でした。
2000年前後にはOfficeのシェアは90%前後とも言われ、Word・Excel・PowerPointが当たり前の時代でした。企業の仕事はほぼすべてこのソフトで作られていたと言ってもいいくらいです。

ところが、いま調べてみると状況は変わっています。
企業向けオフィスソフトの市場では、Google Workspaceが約50%前後、Microsoft 365が約45%前後という調査もあり、Googleの方がシェアで上回るケースも出てきています。

Google Workspaceのルーツは2006年に登場した「Google Apps for Your Domain」というクラウド型ツールでした。その後G Suiteへと進化し、2020年から現在のGoogle Workspaceという名称になっています。

Googleが最初に打ち出した差別化はとてもシンプルでした。
ソフトをインストールするのではなく、ブラウザさえあればどのデバイスでも使える。そして複数人が同時に編集できる。今では当たり前ですが、当時としてはかなり革新的な考え方でした。

一度デファクトスタンダード(業界標準)になると、その企業は巨大な収益構造を抱えることになります。その仕組みを守ろうとするほど変化のスピードは遅くなり、長い時間をかけてチャレンジャーに追い抜かれていく。こうした構図は多くの業界で見られます。

今回のPowerPoint事件は、そんな変化を身近に感じる出来事でもありました。