昨日まで開催していた京都の展示会が、無事に終了しました。昨年よりも多くのお客様にご来場いただき、心より感謝申し上げます。

今回の展示会を通じて、あらためて強く感じたのは、「買取りによる商品が、確実に動いている」という事実です。

ここ最近の流れを整理すると、背景にはいくつかの構造的な変化があります。

まず、商品の生産量そのものが減ってきているということ。「これは良い」と思える商品は、待っていても手に入らない時代になりました。仕入れの判断を先送りすれば、その商品はもう市場に出てこず機会損失につながります。

さらに、日本全体がインフレフェーズに入ったという現実です。産地で値上げが進んで、お金の価値が下がる中、現金のまま置いておくよりも、価値のある商品に早く変えようと考えるのは、合理的な判断です。

もうひとつは、人手不足の問題です。これまで当たり前のように組めていた催事が、人が足りずに組めなくなることも出てきました。販売のやり方そのものを見直す必要が出てきました。

でも、こうした外的な変化以上に、僕が一番大切だと思っているのは、「人の想い」です。

店主やスタッフの方が、
「これは自分でも欲しい」
「これをお客様が着ていただけたら、絶対喜んでもらえる。」
そう思える商品を仕入れ、自信をもってお客様にご提案する。

この形こそが、着物販売において最も理にかなった、王道の商売です。

販売する人の想いは、必ず商品に乗ります。その想いは、お客様に伝わり、結果として満足度の高い販売につながる。そして信頼関係が生まれ、リピートになる。

日本橋丸上は、創業以来、この考え方を貫いてきました。
現在前売り問屋は催事中心のところが多く、このコンセプトで商売をしている同業者はほとんど無くなっています。
だから、この考え方に共感してくださるお客様が少しずつ、しかし確実に増えているのだと思っています。

和装業界に限らず、世の中は完全に二極化の時代に入っています。
これからは、想いと価値で選ばれる店にお客様が集まる時代だと思います。

だから、「今、何が売れているか」を追いかける前に、「自分は、何をお客様に届けたいのか」を自問自答する必要があると思います。
そして、その先にお店としての個性や信頼が生まれるのだと思います。

売れている商品よりも、売りたい商品。その覚悟が大切な時代です。