先日終了した水無月合同祭には、たいへん多くのお客様にご来場いただき、本当にありがとうございました。また、ウライ様、和光様、置賜産地の皆様、そしてお手伝いいただいた各メーカーの方々、設営や運送、食事の手配まで携わってくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

ふと振り返ってみると、あの展示会には実に多くの人が関わっていて、その支えがあって初めて成り立っていたのだと改めて実感しました。そんな中で感じたのが、「敵対関係ではなく、協力関係を大切にすること」でした。

和装業界に関わる人の数は、今後確実に減っていきます。
でも、着物ファンの広がりやインバウンド需要といった新しいチャンスも見えてきています。マーケットを広げることは、工夫次第で十分可能です。

そのために必要なのは
・新しい発想を取り入れること
・役割分担を明確化すること
・無理や無駄を減らすこと

そして何より、「誰かが損をして、誰かが得をする」ような仕組みではなく、業界全体がエンドユーザーのために一丸となって動く集団になることだと思っています。

メーカー・流通・小売という立場の違い、同業者同士の関係性、あるいは経営者と従業員、上司と部下、仕入担当と営業担当などなど。よく見れば、そこに小さな“敵対関係”が生まれてしまっている場面って、実は多い気がします。

でも、それぞれの立場をちゃんと尊重しながら、自分の意見もしっかり伝えて、より答えを導きだせば、協力関係に変えていける。そう思っています。

僕もこの業界に入って、今年で満20年。
もともと丸上に入るなんて思ってもいませんでしたが、着物や職人さんの技、意匠の美しさに驚き、感動してこの道を選びました。

同時に、古い商慣行や情報発信の弱さ、デジタル化の遅れを感じ、それを変えていくことが自分の使命だと思って入社しました。

買取仕入れ、オリジナル商品開発、情報発信、DX推進、Webマーケティング、若手社員の採用と教育など、少しずつですが取り組みを重ねてきて、今では和装業界でもある程度の成果が出せる会社になってきたかな、と感じています。

もちろん、順風満帆だったわけではありません。
DXも、パソコンを買っただけでは全然だめで、どうして必要なのか、どうすればお客様の役に立つのか、社員全体が納得しながら進めないと、結果にはつながらないということも痛感しました。

僕も今年で50歳になります。
社長としての残りの時間の中で、何をすべきかを考えるようになってきました。
今は、「お客様や仕入先様と協力関係を築きながら、若い人がいきいきと働ける業界にしていきたい」という思いが一番強いです。

そのためなら、当社で持っているノウハウや経験も、必要であれば惜しまず提供していきます。何より大切なのは“協力関係”ですから。