昨日は弊社別館にて、きものの未来塾第4講を開催しました。

前半は西陣まいづるの舞鶴政之さんに、西陣織の現状を教えてもらいました。衝撃的だったのは僕が生まれた昭和50年の生産量を100とした時に、コロナの始まった令和2年度の生産量がわずか3.6%しかなかったという事実です。平成29年と比較しても半分近く減少しています。

西陣の産地としては、生産に前向きな機屋さんの減少、職人の高齢化と後継者不足、織機のメンテナンスの問題など様々な問題を抱えています。そんな中でもまいづるさんのチャレンジを教えていただき、少し元気が出ました。

印象的だったエピソードは、コロナ禍になってから、会社で断捨離をして大掃除をしていたところ、太平洋戦争の頃の資料などが出てきたそうです。それを受けて、初代が、「コロナも大変だけれども、まいづるはもっと大変な時代を乗り越えてきた。」ということを教えてくれたのではないかと話されてました。呉服業界には老舗がたくさんありますが、全ての会社は様々な困難を乗り越えてきています。現役世代はそのことを知って、前を向くべきだと思いました。

後半は月刊アレコレの細野美也子さんから、「いまの、カジュアルきものと一般ユーザーについて」というタイトルでご講演いただきました。長年業界に寄り添って市場を分析されているので、消費者の意向をよく掴んでいらっしゃいました。

問屋の僕の立場からすると、流通が多様化して、エンドユーザーからすると様々なチャネルからの購買ができる時代になりました。その中で自社がどのような役割を果たすべきかを明確にしていくことが経営者には求められます。インターネットが普及するとビジネスとしてはあらゆる”中抜き”が可能になります。これまでは問屋などの流通を中抜きと言われていましたが、今は小売店でさえ中抜きされる時代です。でも、着物の場合は反物で買っても、仕立てなければ着られないですし、帯や小物のコーディネートが必要です。それに着付け教室や着る機会などのサービスは実店舗でないと提供できません。着物はネットだけでは完結しにくい商品だからこそ、専門店の”あり方”を作りだすことができると思います。

そして、日本橋丸上は流通の変化の中で、その専門店さんにお役に立つポジションを目指せば、オンリーワン企業になれるチャンスがあると感じました。

昨日はオンラインでの参加も多かったですが、遠方から初めていらっしゃった受講生もいました。やっぱりリアルでの受講の方が良かったと言っていただけました。これから第8期も中盤から後半に差し掛かってきます。より内容の濃い情報を提供できるよう頑張ってまいります。