以前から着物業界でも問題視されてきました、18歳成人の改正民法が昨日参議院で成立して、2022年4月1日から施行されることが決まりました。今後の成人式のあり方をよく見ていく必要があります。

業界として最初に取るべき行動は、2022年(平成34年)1月の成人式まではこれまで通り開催されることが決まったことを認知することです。この法案の成立により、現在の振袖対象者からすると自分たちの成人式はどうなるのかという不安が生まれますので、ちゃんと開催される旨を説明することが大切です。

そして平成35年の成人式からはどのような形で開催されるのかは、現時点では未定です。今後の働きかけについては業界視点からよりも、エンドユーザー視点や成人式を開催する地方自治体の立場を考え提案することに重点をおく必要があると思います。

例えば、エンドユーザー視点で言えば、高校生活の延長線上の18歳時点での成人式に参加したいのか、それとも同窓会的な意味合いもある20歳での式典を望むのか。飲酒は20歳維持ですので、そのような式典でお酒があったほうがいいのか、ないほうがいいのか。

また、成人式は1946年の蕨市が起源とされているので、70年以上続く日本の通過儀礼です。1946年に20歳だった方はすでに90歳を超えていますので、成人対象者の親は全員20歳での成人式を経験しています。僕にも子供がいますが、やっぱりハタチは日本人の親からすると子育ての一つの節目であることは間違いないと思います。このような長く続く日本の文化についての考え方についても考察の必要があります。

また、成人式を運営する地方自治体の方の立場からすると、18歳で成人式を行っても受験と重なり参加者が激減するリスクがあります。またその式典の後の飲酒のトラブルの危険もあります。

何より18歳に成人式を移動させた場合、本当に3年分の式典をまとめて開催できるかという問題もあります。

確かに新聞を見ると18歳で契約が成立するようになるので、教育として18歳成人の意味を教える事は大切ですが、それは式典ではなく高校などでの授業でしっかり教えたほうが効果的だと思います。

いずれにしても過度に反応しすぎずに、一度冷静にエンドユーザーの考えや、様々なリスクを検証して、あるべき姿を導き出すのがいいかと思います。