このところマスコミでアメフトの悪質タックルの問題が報道されていて、多くの方から意見を聞かれます。今日は個人的な見解を書いてみます。

僕は学生時代、今回問題を起こしてしまった学生さんと同じDLというポジションをしていました。DLの花形といえば、QBサックです。OLのパスプロテクションをかいくぐり、パスを投げる前のQBに思いっきりタックルしたくて練習したものでした。もちろんこれはルールの範囲内でです。QBはルールで守られているので、パスを投げてからヒットすると15ヤードの罰退です。

15ヤードの罰退はかなり大きいです。ちなみにアメフトはチーム同士の力が均衡している場合は、反則の回数が勝敗に大きく影響するスポーツです。

で、今回の映像を見ましたが、問題の選手はQBがパスを投げ終わっていることは100%わかっています。その上で、完全に力の抜けているQBに思いっきりタックルしています。しかも、最後の段階でもう一段低くタックルしているので、意図的に膝を狙っているように見えます。膝を壊して選手生命が絶たれた方は何人もいます。

多くの報道であるように許されないプレーであることは確かです。QBの受けた衝撃は、普通に街中歩いてたら、後ろからすごいスピードでタックルされたのと同じで、生命の危機にもつながりかねません。今回はたまたま後遺症もなく練習に復帰できているのは不幸中の幸いでした。

じゃあ、これがチームの指示だったのかというとなんとも言えませんが、無駄な反則は勝敗を左右するんです。あのプレーではパスが失敗していますので、単純に反則をしない方が日大は得なはずです。でも、あのような無駄な反則をしても誰もチーム内から叱責がないとすれば、そのような悪質なプレーを容認する風土があったと断定されます。

で、ここから考えなければいけないのは、なんの為の学生スポーツかということです。やっぱり大きな目的は、”勝利を目指す努力を通しての教育”だと思います。僕も長年アメフトをできたおかげで、本当にいろんなことを学びました。勝利の喜び、敗北の悔しさ、努力の仕方、チームの作り方、努力しても努力しても届かない結果があることなどなど。

果たして問題のチーム第一目的はなんだったのでしょうか?そこが大きくずれている印象です。

それと、あのプレーを目の前で見た審判はやっぱり一発退場にしなければいけなかったと思います。まぁ、あんなひどいプレーは見たことないので何が起こったか理解できなかったのかもしれませんが。。やっぱり健全な教育にはそれをチェックする機能が必要だと思いました。

監督の指示の有無について報道されていますが、監督が指示を認めればチームぐるみで反則を行なったということになります。その場合は、秋の公式戦などどのようになるかわかりません。擁護するわけではないですが、これまで血のにじむような努力してきた学生さんもたくさんいるわけで、学生時代の貴重な時間をこのような指導者の元で奪われたのであれば、本当にかわいそうです。

指導者としてそこまでを予測しての行動だったのでしょうか?指導者やリーダーはそのような重い役割を担っていることを認識して、全てに責任をもち行動しなければなりません。

もし、指示のもと悪質なタックルをしたのであれば、DLも被害者です。このネット時代の誹謗中傷はとても厳しいものだと思います。本日会見を行うそうですが、過ちを反省した上でどうにかもう一度立ち上がって頑張って欲しいです。