今日は問屋という商売について書いてみたいと思います。一般的に”問屋”というと、流通の中間に入り、小売価格を上げてしまうイメージがあるかもしれません。僕も問屋に転職の決断をする時に、”問屋不要論”という言葉を思い出し、悩んだ時期がありました。

でも、大事なのは企業の存在意義です。

確かに大量生産、大量消費の商材であれば、ITの技術を使い、かなりの効率化とビッグデータの活用によるリスクの最小化が大資本によって実現できるかもしれません。でも呉服の場合は、少量多品種の業界です。

少量多品種の場合、創り手さんはたくさんいますし、いい商品を発掘しなければなりません。丸上としては、「お客様である小売店様の代わりに商品を仕入れている」事を忘れてはいけないと思ってます。その為には、メーカーの売出にも1番に行くことだったり、労力を惜しまずに足でいい商品を探すということを徹底してやる必要があります。そして、最近はアイデアを出し、ものづくりの発注をする事も増えてきています。

そして、そのように厳選された商品を、立地のいい日本橋に一堂に展示する事により、小売店様の仕入れの時間とコストを下げる役割を果たすということが丸上の存在意義です。

僕の中では丸上を通して商品調達をした方が、「良い商品が、安くて早い」を実現しなければいけないといつも考えています。

それと同時に小売店様の販売に役立つ情報や、ノウハウを考え提供していくとい仕事もあります。特に着物の場合は、人間力というか、誰が提案したものなのかということも大切です。その為にも人材教育がとても大切です。

そして、メーカーの方達から見た場合は、営業外注の役割を果たす必要があると思っています。これから創り手の後継者不足が叫ばれている中で、メーカー様がものづくりに集中できる環境を作る事も丸上の存在意義です。その為には丸上の社員も商品に関する知識を徹底して学ぶ必要があります。

着物においては、消費者の方はたくさんあるものより、自分の個性を表現できるものが欲しい業界です。だからこそ、商品本位のしっかりと役割を果たせる問屋が必要ではないでしょうか?そして、その為にはちゃんとリスクを取る必要があります。まだまだ実現できていないことも多いですが、日本橋丸上はそんな役割を果たす会社にしたいと思っています。