先日の問屋4社合同企画の為末大さんのセミナーですが、ご参加いただけなかった方もいらっしゃいましたので、どんな内容だったか書いてみま す。為末さんには着物姿でご登壇いただきました。

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まず、為末さんというと、やっぱり世界選手権で日本人としてトラック種目で初めてメダルを獲得した印象が強く、その後も1回メダルを取得していたので、ずっと順調に競技をしていたイメージでした。でも、現実は 様々な挫折や失敗を経験していることを知る事ができました。

初めて出場したシドニーオリンピックでは、予選で9台目のハードルに引っかかり、この大会で唯一の転倒をしてしまったそうです。その時はオリンピックという大舞台で初めて「自分を見失う経験」をしたそうです。

オリンピックに出場するという夢を叶えても、夢の舞台に立った事を考えていなかったそうです。そしてそのレースでハードルを飛ぶたびに、いつもと違う違和感を感じて、それが段々大きくなり、ついに9台目のハードルで転倒してし まったそうです。

その後のレースではその失敗がトラウマとなり、ずっと9台目のハードルを意識してしまうスランプがあったそうです。一番人間にとって難しいことは「考えないこと」なんですね。

この失敗を分析し、大舞台の経験不足が原因と断定しました。そして場慣れする為に世界の大会に出て行くようにしたそうです。ものすごく忙しい競技のスケジュールで活動したところ、とてもいい結果が出たそうです。 その理由はハードルの事どころじゃない忙しい状況が良かったと考えたそうです。

その後努力を繰り返し、2001年の世界選手権で日本人初の銅メダルを獲得されました。

でも今度は有名人になり、世間の期待が大きくなり「成功体験の罠」には まりました。「成功体験の罠」というのは、一度大きな成功をすると新しい物を取り入れることができなくなり、すぐに昔の成功したときのやり方 に戻ってしまうことを言うそうです。これって、2兆円産業から現在の2800億円程度の市場規模になった呉服業界にも同様の事が言えると思い ます。

その時の対処法は、新しい事をどんどんチャレンジしリスクを取るようにしたそうです。そして、自分より9歳も年下の選手に頭をさげて指導してもらうようお願いしたそうです。日本人初のメダリストがそこまで謙虚さと覚悟をしたのは、すごい事だと思います。

そして、2回目のメダルを獲得した世界選手権での予選タイムは最下位 だったそうです。ここで勝負をするために選んだ作戦は、①ほとんどの選手が若く、世界の舞台が初めて。②予選タイムが悪かったため外側の第7レーンスタート。という二つの条件を使いました。外側の第7レーンという事は6人の選手に背中を見せられるということです。そこで、最初のハードルま でを全力で走りました。400mハードルではハードルを飛ぶタイミングで、レース中での自分の順位を確認します。ですので、一つ目のハードルをとんだ時点で経験の浅い選手が「自分が遅いのではないか?自分が何かいつもと違うんじゃないか?」という違和感を感じさせました。これは自分が初めてのオリンピックで経験した「自分を見失う。」という経験を活かした作戦です。そして多くの選手がパニックに陥り見事銅メダルを獲得したそうです。

陸上というシンプルなスポーツでも、ものすごい駆け引きがあるものです ね。

お話を聞いて、「失敗から学ぶ事」と、「リスクを取り、チャレンジを繰り返す事」の大切さを感じました。そして何事も楽しんで行うことを勧められました。

なお、当日は協力企業様にご協賛いただき、着物をプレゼントし、着物姿でご登壇いただきました。アスリートらしく「帯は丹田に締めるんですね。」ということや、「日本人は身体をねじらない動きが得意なので着物が合ってるんですね。」ということをお話いただきました。

実はこの他にも、たくさん面白い話もありましたが、僕の主観でまとめさせていただきました。非常に意義深く楽しい講演会でした。どうもありがとうございました!最後に為末さんの着物姿をもう一度掲載させていただきます。素敵ですね!

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