昔から、僕は「人との出会いには恵まれている」と感じています。仕事でもプライベートでも、自分が困っているときや、新しい挑戦をしようとしているときに、不思議とその分野に詳しい方や、力を貸してくださる方と出会うことがあります。振り返ってみると、丸上の日々の仕事はもちろん、会社の移転や建て替え、業界でのさまざまな活動も、本当に多くの方との出会いによって前へ進んでくることができました。
もちろん、何もせずにただ待っているだけで、素晴らしい出会いが向こうからやってくるわけではありません。もし自分に強みがあるとすれば、それは異なる考え方や立場の人を、比較的そのまま受け入れられることだと思っています。
以前、自身の強みを客観的に知る「ストレングスファインダー」というアセスメントツールを受けたのですが、その結果、僕の強みの一つとして「包含(ほうがん)」の力があることがわかりました。包含とは、自分と違う意見や価値観を排除せず、その人が持つものをいったん受け止めることです。僕自身、相手の年齢や肩書、業界にとらわれず、できるだけ多くの方のお話を聞くように心がけています。すべてに同意する必要はありませんが、「そういう考え方もあるのか」と一度受け止めることで、自分の中にはなかった新しい視点や可能性が見えてくることがあります。
もう一つ心がけているのは、常に自分の考えや会社の姿勢を発信し続けることです。この社長ブログもそうですし、丸上が今何を考え、どこへ向かおうとしているのかを、できるだけ外へ伝えるようにしています。発信を続けていると、それを読んだ方から声をかけていただいたり、思いがけないご縁につながったりします。自分の考えを言葉にして伝えることは、未来の出会いに向けた小さな種まきなのかもしれません。
最近では、SNSなどを通じて人とのつながりが可視化され、かつて知り合った方と容易に連絡を取り合える時代になりました。「そういえば、以前あの方と知り合ったな」と思い出したときに、すぐにメッセージを送れる手軽さは、現代ならではの大きな変化だと感じています。こうした便利なツールがあるからこそ、過去の小さな出会いが、時間が経ってから再び大きな縁として結び直されることも増えてきました。
ただ、それだけでは説明できない、不思議な出会いもあります。「なぜ、このタイミングでこの人と出会ったのだろう」と思うことが、これまで何度も現実にありました。次の一歩を踏み出そうとするときに、必要な知識を持った方が目の前に現れたり、悩んでいるときに答えのヒントをくださる方と巡り合ったり。まるで何かに導かれているように感じることさえあります。
こうした偶然の出会いから、思いがけない価値や発見を得ることを「セレンディピティ」と呼ぶそうです。しかし、これは単に運が良いということだけではないように思います。出会った人の言葉に真摯に耳を傾けること、自分とは違う考えを受け入れること、そしていただいたご縁を大切に育てること。そうした日々の姿勢があって初めて、偶然の出会いやSNSによる再会が、意味のあるものに変わっていくのではないでしょうか。
呉服の仕事も、つくり手から問屋、そして小売店様へと、人から人へバトンをつなぐ仕事です。だからこそ、僕はこれからも多くの方を受け入れ、自分の考えを発信し続けたいと思います。そして、必要なときに出会えた方々への感謝を忘れず、いただいたご縁を次の誰かへ、あるいは新しい価値へとつないでいきたいです。良い出会いに恵まれることは運かもしれませんが、その運を本当の縁にできるかどうかは、自分自身のあり方にかかっているのだと感じています。

