先日、全国の書店数が1万店を割ったというニュースを目にしました。インターネット販売の伸長や出版市場の縮小が影響し、街の書店の減少が続いているそうです。

奇しくもそんなタイミングで、長年通っていた神保町の三省堂がビルの建て替えを終えてオープンしたので、足を運んできました。

僕は昔から本屋さんが大好きです。新しい店内に入った途端、本特有の紙とインクの匂いがふわりと漂ってきて、とても幸せな気分になりました。

ただ、店内をじっくり歩いてみると、以前よりも純粋な書籍を並べるスペースはかなり減っているように感じました。その代わりに、特定の分野に特化した特殊な本が充実していたり、人気漫画のキャラクターを扱うジャンプショップが併設されていたりと、空間の使い方が大きく変わっていました。

減少を続ける書店業界のニュースと、新しく生まれ変わった三省堂の姿。これらを重ね合わせて見ると、今の時代における「実店舗の役割」について考えさせられます。誰もがスマートフォンひとつで簡単にモノを買える環境の中で、ただ幅広く商品を並べるだけでは、わざわざ足を運ぶ理由にはなりにくいのかもしれません。特定の分野を深く掘り下げたり、そこでしか味わえない独自の世界観や体験を提供したりすることが、今の時代の店舗に求められているあり方なのだと思います。

これは、僕たち丸上のような呉服卸の仕事や、お取引先である小売店様の商いにもそのまま通じるものがあります。ただ着物を揃えるだけでなく、丸上だからこそ提案できる専門性の高い品揃えや、人と人とが顔を合わせて生まれる熱量、そして新しい発見がある空間をつくっていくこと。時代や環境が変わっても、お客様が求める本質的な価値を見極め、自分たちを柔軟に変化させていく姿勢を大切にしていきたいです。