昨日まで東京都美術館で開催されていた「染芸展」に行ってきました。開館100周年を迎えた歴史ある美術館の空間で、多くの素晴らしい着物に触れる時間となりました。
会場には、江戸から続く「東京手描友禅」の歴史を解説するパネルが展示されていました。それによると、江戸に幕府が開かれて職人が移り住んだのが始まりで、その後、よりきれいな水を求めて神田川周辺へ工房を移したり、関東大震災や戦争中の贅沢禁止令など、幾多の困難を乗り越えてきたそうです。その歴史の重みを前に、僕たちが普段扱っている着物が、いかに多くの先人たちの歩みと情熱の上に成り立っているかを改めて感じました。
東京手描友禅の大きな特徴は、図案から仕上げまでをほぼ一貫して一人の職人さんが手掛ける点にあります。分業制の産地とは異なり、すべてを一人で担うからこそ、作品には作り手の個性が色濃く反映されます。実際に展示されていた作品を拝見しても、どれも作家さんの持ち味が存分に発揮されており、非常に個性的で惹きつけられるものばかりでした。
その多様な作品群を見ながら、僕たち丸上としてできることについて考えを巡らせました。それは、完成した作品をただ仕入れてお届けするだけでなく、作家さんと直接対話を重ね、「これからどのようなものを描いていただくか」を一緒に考えていくことだと思っています。
作り手の豊かな個性と確かな技術に、今の時代の空気やお客様の声を掛け合わせることで、東京ならではの新しいものづくりができるはずです。職人さんたちが繋いできた歴史を大切にしながら、作り手と共により良い着物を生み出していきたいです。

