日ごとに秋の深まりを感じる季節となりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。先月、浅草台東館にて開催いたしました創業75周年記念“躍進展”には、本当に多くのお客様にご来場いただき、心より御礼申し上げます。今回の催事を通じて、僕自身、あらためて「長年の積み重ねの大切さ」を実感いたしました。日本橋丸上は、短期的な成果を追うのではなく、長い年月をかけてお客様のお役に立ち続ける問屋でありたいと、あらためて心に刻みました。

 さて、先月の出来事になりますが、業務改善のヒントを得るために、社員10名でブックオフの東名横浜ロジスティクスセンターを見学してまいりました。きっかけはテレビ番組『ジョブチューン』です。番組内で紹介されていた、全国から毎日届く中古品を効率的に管理・保管・出荷する様子を見て、「少量多品種の商品管理においては日本一の現場だ」と感じました。そして、着物の在庫を大切に扱う丸上でも参考になることがたくさんあるはずだと思い、以前から面識のあったブックオフの堀内社長に相談したところ、快く見学を受け入れてくださいました。当日は、社長ご本人によるご案内というとても貴重な機会をいただきました。

 見学して驚いたのは、その桁違いのスケールです。倉庫の広さは約8,000坪、管理在庫点数は320万点。そして何より印象に残ったのは、徹底した「業務の標準化」と「改善の積み重ね」でした。ちなみに、タイミーで採用したアルバイトスタッフでも、わずか30分のレクチャーで現場作業ができる仕組みになっているそうです。

 また、買取依頼のピークは引越しシーズンの3月末で、送られてくる荷物の多くは「スピードコース」と呼ばれる、査定結果を確認せずに金額が自動振込される方式だそうです。つまり、ブックオフのビジネスモデルは、お客様の不要になった品物をきれいに整え、整理することで新たな価値を生み出す循環型の仕組みです。さらに、商品管理だけでなく、全国約900店にのぼる実店舗との連携を活かした、唯一無二のオペレーション体制を構築していることがわかりました。

 そのブックオフの年商は約1,200億円。和装業界全体の約半分の売上を、わずか一社で実現しているのです。日本橋丸上はこれからも積極的に異業種から学び、「令和の時代に求められる呉服問屋のビジネスモデル」を追求してまいります。

上達 功


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